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2016.02.22

労働者派遣法、政令?省令?指針?

労働者派遣法、政令?省令?指針?

平成27年9月改正労働者派遣法の改正内容については、厚生労働省のホームページは勿論、すでに各所で詳しい解説がなされていますので、あまり語られていない基本的なことについて書きます。

正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律、
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360AC0000000088
いわゆる労働者派遣法に付随するものとして、政令と省令があります。

政令:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=361CO0000000095
省令:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=361M50002000020

法令の優劣関係は、
 憲法>法律>政令>省令
の順です。法律・政令・省令を総称して法令と呼び、政令と省令をまとめて政省令と呼びます。

政令は閣議決定の後、法律のような国会議決を経ることなく、天皇陛下が公布されますが、省令は各省の大臣が制定し、大臣の名で公布されます。

法律の条文の中に「政令に定めるところによる」や「別途省令に定める」と書き、時流に合わせて適宜変えていかなくてはいけない事項や、例えば、迅速に改正が必要な危険ドラッグの指定などといった事項が政省令に定められます。

労働者派遣法施行令には、派遣禁止業務の細目、日雇派遣禁止の例外となる業務、他の労働関係法令を派遣先・派遣元のどちらに適用するかなどが規定されています。以前は、期間制限の無い所謂専門26業務も定められていました。
ちなみに、前回の平成24年派遣法改正寸前に専門業務が一つ増えて27業務となり、日雇派遣禁止の例外業務を分割する際に、そのうち1業務を2つに割ったため、日雇派遣禁止の例外かつ期間制限の無い専門18業務と期間制限の無い専門10業務、合わせて期間制限の無い専門28業務となったのですが、長らく26業務であったため、「所謂26業務」という表現が使われていました。
平成27年改正時の各種報道では、単に「26業務」と言ったり、「26業種」と間違っていたり、ひどいものになると、もっと古い「13業務」を引用したりするものさえありました。やはり、原典にあたることが重要です。

閑話休題。
労働者派遣法施行規則には、派遣事業許可申請に必要な書類、事業報告の提出日といった派遣事業者が行なう事務手続の原則から、派遣元・派遣先の講ずべき措置の細目、他の労働関係施行規則の適用関係などの事項が定められています。

法令は、勿論、守らなければいけないものですが、「事業はこういう風にすすめましょうね」という「指針」というものがあります。
・派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000760524.pdf
・派遣先が講ずべき措置に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000760525.pdf
・日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000760526.pdf
これらが労働者派遣法に関わる三指針です。
指針は法令より読みやすい文体で書かれているので、一度は目を通しておかれることをおすすめします。

さらに、我々の業界のバイブルとも言うべき「労働者派遣事業関係業務取扱要領」といいうものがあります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/hakenyouryou_00003.html
この業務取扱要領は、法令や指針の解説が比較的平易に書いてあり、中には法令・指針にも書いていない重要なことが書いてあったりしますので、派遣法関連で解釈が分からない、あるいは迷うようなことがあったら、まず、この要領にあたりましょう。
印刷すると432ページもあり、知らない間に改訂されることがあるので、必要なときにネットで開いてみることをお勧めします。

そのほかに「告示」や「通達」などがありますが、表に出てこないためあまり知られていない「内かん」というものがあります。
「内かん」とは、行政機関において必要な事項を伝達するために、国から地方自治体に大して送付される文書のことです。
特に、我々の業界に大きく関わるものとしては、昭和55年に厚生省保険局保険課長から都道府県の保険課長宛に発せられた内かんがあります。
それまで各地方で様々に運用されていたパートタイマー等の社会保険適用除外基準を「所定労働時間・日数が正社員の四分の三未満にすべき」との考えを示したものです。
これまでこの「四分の三未満」は法令のどこにも書いてなかったのですが、今年平成28年10月のパートタイマーの社保加入拡大に合わせて、厚生年金保険法に加えられることになりました。社会保険の話は、また別の機会にしましょう。

派遣先責任者の方は勿論、派遣先で派遣労働者の指揮命令に関わる方々も、解説書や解説記事、Q&Aばかりではなく、たまには法令の原典や業務取扱要領を読んでみてはいかがでしょうか。